同居人が急に寿司作ってきた話
まあな、ワシには同居人がいんねんやんか。
こいつな。
一応うちの事業一緒にやってる株式会社の社長なんやけどな。
まあいわゆるビジネスパートナーっちゅーやつや。同居人というより。
ビジネスパートナーっちゅーより枕やな。基本的には。
冬場はこいつの布団に入っておくと暖かいからちょうどいいんや。
つまりコタツやな。同居人というより。
で、こいつケチやねん。
普通猫と一緒に住んでる人って「はぁんかわいいねぇ」とか言ってちゅ〜るとか買ってくるやろ?
ないねん。コイツは。
もっとこう缶詰とか、お前なぁ、買ってこんかいと思うわけや。
ワイはお客様にはこんな口はきかんのやけどな、基本的にはこんな感じや。カンニンな。
でな、大事な本題や。
コイツこの前何を思ったか急に寿司を食わせてきてん。
安いスーパーで半額の刺し身をこうてな、シャリは鶏肉のミンチを丸めて茹でたやつでなんか作ったらしいわ。
最近新宿とかで安く飲もうと思うとグルメサイトなんかに肉寿司とかよく出てるやろ。
3480円で2.5時間飲放題付きコースみたいなやつが。
肉寿司込みのやつが。
あれなんやねんと思っててん。ずっと。
寿司って魚だから良いんとちゃうんか。
あれやろそんなもん、なぁ、お前たこ焼きの中身のタコやめてマルチョウにしたらうまいんか、なぁ。
で、とりあえず眼の前に出てきたわけや。肉寿司が。
まあとりあえず豪華やわ。見た目はな。
鶏肉の上に魚の肉が乗ってるなんてな。
ご飯の上にライス乗せるようなもんやろ。
普通反則やろそれは。
でもな、まあええわ。
とりあえずうっまそうやなとは思ったわ。正直。
あのローソンで198円の缶詰よりええな思たわ。正直。
でもな、ちーと考えたらわかるやんか。
なぁ。
猫の口のサイズ、なぁ。
お前、こんななぁ、ミニトマトくらいしかないんやぞ。
猫の口の大きさが。
寿司がはいるわけないやろボケが!
ええ加減にせえよ!
まあでも食いたいやんか。
とはいえ。
ジッと見ててん。しかたなしに。
そしたらコイツな。コタツがな。
「あぁ」とか言ってちぎってんやんか。
「あぁ」て、お前なぁ。
お前それ、最初から気づけや。
まあなにはともあれや。生まれて初めての肉寿司や。
なんというかなぁ。美味かった。うん、あれは美味かった。
次は炙りサーモン行きたいなぁ。
また頼むわ。
ごめんやで。